人はバランスが取りやすいとき安定していると感じる!
人は元の状態に戻りやすい状態にあるとき、安定していると感じるのではないのでしょうか。心理的にもそうですよね。安心できるリラックスできる場所に戻れば、安定していると感じて、自信を回復して、また出かけていけます。そうすると、今まで、やれなかったことがやれるようになっていて、びっくりしたことは多くの方に経験があることでしょう。
これは、力学的な意味の安定とは違います。力学的な意味で安定と言ったら重心がなるべく低くて、動かないことを言います。これを区別するために『動的な平衡』とでも言えばいいかな、あるいは『安心できるふるさと』...安定感と安心感は密接なつながりがあるのかもしれません。
さて、理想的な構造的な姿勢というときには、どのような基準で言っているのかをはっきりさせておきたいと思います。そのためには、動きやすさという機能を考える必要があります。
図のAの状態がなぜ構造的によいと言われるのかまとめておきますね。主に3つの事柄によるようです。
1.バランスを回復しやすいこと 2.上下軸に対して回転しやすいこと 3.地面からの反作用を頭に効率よく伝えやすいこと。
1.バランスを回復しやすいこと
人は重心ができるだけ高い位置にあると安定だと感じます。重心の最も高い、この姿勢はもっとも元に戻りやすいです。神経系は特に元の姿勢に戻る体の立ち直りの反応に適応します。元の状態に戻りやすい習慣で安定を感じますが、構造的には言葉の定義通りに言えば不安定ということです。この図のデーターはこの基準から作られているようです。
2.上下軸に対して回転しやすいこと
重力方向を軸に回転しやすいことです。力学的に言えば、慣性モーメントを最小にするということで、図のデーターとよく一致します。四本足で立つ動物より二足立ちの人間のほうが回転する速さが速くなります。闘牛では牛よりも素早く方向転換できます。また、武術はこの回転軸を有効に使いますね。例えば、合気道などで入り身とか使って、力の弱いはずの老人でも屈強な若者より素早く動いて、投げ飛ばしたりします。人間の特徴的な動作です。
3.地面からの反作用を頭に効率よく伝えやすいこと。
これについては図のデーターと比較したものがありません。そこで推測がはいりますが、足の裏から力が無駄なく骨格を通して頭に伝わりやすい状態にあるだろうと思います。足の裏から力を加えて、その力が頭にどの程度、ロスなく伝わるか測定してみれば、数値化できると考えています。階段を上り下りするときの疲れの少なさや、パンチの威力や、ジャンプの高さは単に筋力だけの問題ではないわけです。立ったり、歩いたりする時に足の裏からの反作用が効率的に四肢に伝わる必要があります。
このことをはっきりさせると、見かけ上の理想的な構造にむりやりはめ込もうとするよりも、1〜3の機能そのものを良くするほうが根本的なことなんじゃないかって発想が生まれても当然ですよね。機能から構造に変化を与える方法論です。
さて、フェルデンクライスメソッドのレッスンを受けた後で、立ち上がると、何が起きていますか?
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